嘘をつく脳 (偽物の記憶)
脳に刻み込まれた記憶を繰り返し思い出すと
その記憶は強くなると思いがちだが実際は記憶を思い出すと
元の記憶は不安定になる
作話(さくわ)
作話とは「正直な嘘」と呼ぶべきものであり、通常は本人は騙すつもりは全く無く、自分の情報が誤りであるとは気がついていない
記憶の欠如した記憶を、その他の記憶や周囲の情報で埋め合わせようとした際に、文脈を取り違え、覚えていないことを覚えているような感覚になり間違った事を話してしまう心理現象
例
お菓子を買った人に「なぜ、お菓子を買ったのですか?」と聞くと「お腹がすいた」「気分転換がしたかった」と答えるが、本当かというと、だいたい後から作話した話
記憶の実験
お酒で記憶が薄れている人に詳細な虚偽記憶を教え、
家族や友達があたかも真実であるように口裏を合わせれば、
40%の人が偽の記憶を真実だと思いこむ
架空のポップコーン新製品を楽しく食べる映像を見せ一週間後に調査
50%以上の人が試食した事があると答えました
これを「虚偽の体験効果」と言います。
何故このような現象が起きるのか?
記憶を思い出すと、その記憶は一時的に不安定化するものの、再固定化によってまた安定に維持されるようになる
自分の物語は自分の都合のよいように作り変えられ、それが、今の自分のよりどころ、つまりアイデンティティーになっていく
偽の記憶が産み出す社会問題
*過剰なカウンセラー
カウンセリングで「父親に2度妊娠させられた」と虐待体験を思い出した女性が、医学的検査の結果「妊娠歴が無かった」という事実が判明
女性はカウンセラーに性的虐待の偽の記憶を植え付けられた。またある男性は胎児だった時に母親から編み針で刺されたという偽の記憶を呼び起こさせられた
冤罪
証言は犯人の調書も含めて信頼性を常に疑わなければいけない事になります。証言ではなく物証などの証拠が必要と言われるのは「意図的な嘘」以外に「脳に作られた嘘」も混じるからです。捜査官が意図的に本人に嘘を思い込ませることもあります。